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インデックス>富士山>歌川広重 冨士三十六景

富士山


博物館資料のなかの『富士山』

歌川広重 冨士三十六景

11:鴻之台とね川(こうのだいとねがわ)

鴻之台とね川
下総の富士と紅葉の名所として名高い鴻ノ台からの壮大な眺めである。帆船の行く方向を追いかけ、蛇行する川下まで視線が導かれる。近くの総寧寺の僧が客人に案内をしている。房総からの富士は逆行になる夕暮れ時のほうが確認しやすいといわれるが、本図も黄昏時である。西日を受けた紅葉の赤がまぶしいほどである。広重は鴻ノ台からの景観を非常に好んだらしく繰り返し描いている。甲州旅行をした際に甲府の商家のために「鴻ノ台図屏風」(当館蔵)を制作し、その屏風では本図の右下に位置する高台から広々と利根川を見渡す構図をとっている。

※国府台(千葉県市川市)
…江戸川の渡船場であった市川の渡の北東に広がる国府台は、古代下総国の国府が設置されていたと考えられている。古代・中世の江戸川は、渡良瀬川の下流で太日(ふとい)川と呼ばれていたが、17世紀前半までには、渡良瀬川と利根川が合流したため、利根川と称したという。その後、利根川の本流が銚子方面に付け替えられたため、江戸川と称するようになった。法衣を着た人物がいるため、曹洞宗関東僧録司の一寺総寧寺境内から下流の市川の渡方面を見た眺望と考えられる。
 

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