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インデックス>富士山>歌川広重 不二三十六景

富士山


博物館資料のなかの『富士山』

歌川広重 不二三十六景

29:相模大山来迎谷(さがみおおやまらいごうだに)

相模大山来迎谷

江戸時代に富士と並んで信仰が盛んであった大山。本図は大山の山頂付近からの富士の眺望である。絶壁のように切り立った峡谷からの富士を真正面に見据えるが、これは極端に誇張したもので、実景では緩やかな山の向こうに富士を遠望する。山頂の石尊社まで参拝が許される6月27日から7月17日の夏の景であろう。山岳信仰の大山から霊峰富士を遥拝するというふたつの信仰を具現する図ということができる。

※大山(神奈川県伊勢原市)
…大山は丹沢山地の東部にそびえ、古代以来、山岳信仰の霊場となり、不動明王を本尊とする雨降山大山寺及び石尊社(大山阿夫利(あふり)神社)の境内であった。古くから雨乞や海上安全、豊漁祈願の信者が集まり、江戸時代には関東一円に大山講が組織された。本図は、蓑毛と坂本からの登山道が交わる山頂付近の来迎谷から富士を望む。鳥居は山頂に鎮座する石尊社と考えられる。明治元年(1868)、大山寺は山号を廃止されて阿夫利神社の境内となり、坂本の来迎院に移転し統合された。

 

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