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インデックス>富士山>葛飾北斎 冨嶽三十六景

富士山


博物館資料のなかの『富士山』

葛飾北斎 冨嶽三十六景

32:御厩河岸より両国橋夕陽見(おんまやがしよりりょうごくばしのせきようをみる)

御厩河岸より両国橋夕陽見

夕闇が迫る厩の渡し。「富士見の渡し」の別名にふさわしく、両国橋のたもとあたりに富士の姿がはっきりと見える。残照によってシルエットになった遠景を輪郭線のない無線摺で表し、夜のとばりを点ぼかしの黒で、波の陰影を重ねた曲線で表す。日が沈んで次第に色が失われていく時間が見事に表現されている。家路や宿へと向かうために渡し船に乗り込んだ人々は、この美しい光景をほとんど見ることなく押し黙っている。船頭の頭を中心点に橋と舟の弧が点対象となる構図も注目される。

※両国、蔵前(東京都墨田区、台東区)
…御厩河岸は、墨田川西岸の日光道中に沿った浅草三好町の川沿いにあり、幕府直轄の浅草御蔵に属する厩から名付けられたという。両国橋は寛文元年(1661)に架橋され、隅田川に架けられた五つの橋(他は千住大橋、吾妻橋、新大橋、永代橋)の中間に位置する。本図は、隅田川の東岸から両国橋を手前に富士を望む。


 
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