「春駒」は、甲州市の北部、標高1000メートルを越える山間地に伝承された民俗芸能です。白馬に騎乗する姿を表したウマと、馬方役の露払いとがペアになって踊るウマオドリを中心とし、ドウソウジンと呼ばれる小正月の道祖神祭りの夜に行われてきました。集落の道祖神場や、集落内の神社、祠、家々を、「春駒」の一行が笛や太鼓、鉦のお囃子とともにめぐり、ウマオドリを奉納していきます。村の人々はウマと露払いを囲むように集まり、唄をうたい、その唄に合わせてウマと露払いが踊ります。
「春駒」は過疎高齢化によって一度絶えかけましたが、集落出身者の方々が塩山市街地で継承活動を復活させ、現在につないできました。しかし、新たな継承地でも、上演に際して市街地化の影響を受けつつあります。
県立博物館では、令和6年の「春駒」を博物館と外庭を会場として実施していただくことにいたしました。かつて山里で繰り広げられてきた賑やかなドウソウジンの夜を、ぜひ多くの皆様にもお楽しみいただきたいと思います。また、価値観が変動する現代社会において、伝統的な祭りをどのように未来に受け渡していけばよいのか、考える機会にしていただけましたら幸いです。
|